本の感想を書いて紹介しておすすめなどしてみる

本の感想をかくつもりだったブログがいつの間にか雑記帳になりました。

3冊目『ノルウェイの森』村上春樹

 こんにちは!今回の作品は『ノルウェイの森』です。この『ノルウェイの森』は僕にとって初めて読む村上春樹さんの作品になりました。

 

あらすじ

 暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。(上巻背表紙より引用)

 

 あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと—。あたらしい僕の大学生活はこうして始まった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同じ学部の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。(下巻背表紙より引用)

 

f:id:st-mild777:20170328165226j:plainf:id:st-mild777:20170328165228j:plain

 

感想

 ジャンルでいえば恋愛なのですが、あらすじにも書いてあるように「死」も登場するので重い内容となっておりました。むしろ「死」の方がメインな気もします。また、読んでて1番思ったのは登場人物たちの人格に奥行きがあり、それがすげえ伝わってくるということです。つまり、すげえキャラがたっているんです。最近読んだ作品の中ではダントツに。そのため、ひとりひとりかなり身近に感じられます。

 

 読み終えたときの気持ちに上手く名前をつけられないというのは毎度のことですが、正直今回は作品を理解しきれたかということすら怪しいです。小説の登場人物の気持ちは基本少しは理解できるものです。しかし、この作品ではほとんど理解できないような場面も少しありました。それでも読み終わったときの気持ちにとりあえず名前をつけるなら、”せつない”という感情がそれに1番近いような気がします。

 

 自分の愛が相手に伝わらない、気持ちが伝わっているのかどうかわからない、必死になっても自分ではどうしようも出来ないことが押し寄せる。そんな場面が物語に散りばめられていて、各登場人物のもどかしさや辛さが痛いほど読み手の心に突き刺さってきます。

 

 キャラがたっているからこそ余計にそのもどかしさや辛さが伝わってくるのだと思います。そして読み手をせつないような気持ちにさせます。安い言葉にはなってしまいますが、村上春樹さんってすげえなと思いました。

 

 ところで「死」についてですが、物語の序盤に次のような文がありました。「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」(『ノルウェイの森』上巻の本文より引用)そしてこの文はゴシック体?(他より太いフォント)で書かれていました。僕は、小説の本文中で異なるフォントが出てくるというのは初めての経験だったので新鮮でした。

 

 この一文ですが、僕は読んだ瞬間には上手く咀嚼できず、また、物語を読み進めていってもなんとなくしか咀嚼しきれませんでした。物語で「死」に直面するごとに、その文の理解がだんだん深まります。「死について考えさせられる」というわけではないのです。上手くは言えませんが、「死ってなんだろう」という思いが読み手の心に侵食してきます。上手く咀嚼できないのは僕自身親しい人の死を経験したことがないからなのかもしれません。そしてそれが、この作品で上手く理解できなかった部分がある理由なのかもしれません。

 

 また、この作品の特徴として性描写が挙げられると思います。もし、思春期真っ盛りのころに読んでいたら変に興奮していたかもしれません(笑)こうは書いてしまいましたが、いやらしさというのは感じさせません。そこにあるのはただただ純粋な気持ちです。

 

 「死」が登場しているからこそ、その性的な行為がより人間の持つ根源的な部分を真っ直ぐ表現していたようにも思います。「寂しい」とかそういった感情よりももっともっと人間の根源的な部分です。これだけでは上手く作品のことを説明できてはいないのですが、恥ずかしながらこれ以上の表現は僕は今持ち合わせていません。

 

終わりに

 一応、恋愛というジャンルなのですが作品の中には、この世で唯一と言ってもいい取り返しのつかないものである「死」が登場します。そんな死に直面しながらも生きる主人公が個性的な人物たちと広げるストーリーにはいつの間にか引き込まれてしまいます。

 

 読み直して理解が進んだらまた書き直していこうと思います。(2017.3.28)