本の感想を書いて紹介しておすすめなどしてみる

本の感想をかくつもりだったブログがいつの間にか雑記帳になりました。

4冊目『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海

 こんにちは。今回の本は数年前に話題となった通称『もしドラ』です。経営学に少し興味があったので、入門にはちょうどいいのかなと思い手にとってみました。

 

あらすじ

  公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。はじめは、難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのにドラッカーが役立つことに気付きます。みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。(本の袖より引用)

 

f:id:st-mild777:20170329153644j:plain感想

  高校野球の女子マネージャーが経営学の本を読む。とても斬新な設定ですよね。経営学初心者の主人公がドラッカーを読み進めるという形なので、経営学を全く知らない読み手でも主人公と一緒に理解を深めていくことができます。物語を読み進めると僕もだんだん『マネジメント』を読んでみたくなっていきました。

 

 専門書って抽象的な説明が多くて少しわかりにくいですよね。具体例があったとしても身近ではないものであることも多々あります。しかし、この『もしドラ』では経営学を高校の野球部を具体例にして説明します。会社という組織ではなく、部活動という組織を具体例にするのです。経営学が部活動という組織においてにさえも利用出来得るということにより、経営学をよりわかりやすく理解し、より身近に感じるられます。

 

 ただやっぱりフィクションなので、物語上で『マネジメント』の効力は恐ろしいほどに絶大となっております。端的に言うとすげえ現実離れした結果をもたらします。物語の内容に少し触れながら紹介しますね。

 

 主人公みなみの親友である夕紀は野球部のマネージャーでした。その夕紀が病気で入院することとなり、彼女を安心させるためにみなみは野球部のマネージャーになりました。しかし、その野球部では無断欠席が当たり前だったりやる気に欠けていたりと、まともな練習が行われていませんでした。

 

 『マネジメント』によってこの野球部が爆発的に強くなるのです。さらには、野球部だけでなくその周りの環境も好影響をもたらします。異常なまでに。まともな練習をしてこなかった野球部が『マネジメント』にのっとった効率的な練習をするだけで強豪校とも渡り合うようになります。しかも、効率的になった練習の期間は1年もありません。

 

 『マネジメント』により、スカウトで有望な選手を集め長い間必死に練習してきたであろう強豪校ともわたり合えてしまうのです。僕はここに『マネジメント』のリアリティに欠けた効果を感じました。まあ、『マネジメント』の力だけでなく主人公みなみを中心とした一生懸命な努力があったからこその結果ではあるのですが。それにしても現実から逸脱しすぎてるように感じました。まあ、フィクションなんですけどね!

 

 また物語とは直接の関係はありませんが、カバーイラストや挿絵がとても可愛らしいです。そこも一種のリアリティの欠如なんでしょうけど(笑)

 

最後に

 本作は「経営学」と「高校野球」という異質とも思われる組み合わせが斬新で面白いです。「経営学ってどんなもんなんだろう?」という方や「『マネジメント』を読んでもよくわからないや」という方におすすめしたい作品です。